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第5回八丈島一周&八丈富士エコジャーニー

普段の行いがよっぽど悪いのか、はたまた雨男の真価をふるに発揮したのか八丈島は前夜半から大荒れの天気となり、土砂降りの中のスタートとなった。

今回のレースは、序盤に八丈富士の中腹まで登って周回道路を周り、その後八丈島を1周する67.3キロの変則ウルトラレースだ。
前半に八丈富士の中腹まで登るだけでなく、中盤から後半に掛けては三原山の峠越えやその後もアップダウンが続く、かなりタフなコースで、どこまで脚が持つか、いつ脚が折れるか、不安を抱えながらのレースだった。


朝6時のスタートだったが、大雨のせいか空はまだ薄暗く足元もまだはっきり見えず、前方から叩き付ける暴風雨と格闘しながら、コース上の水溜りを避けることも出来ず、ランシューズの中はずぶ濡れになりながらバシャバシャと前に進む。

10キロ過ぎまで女性一人を含む4人の先頭グループ、その後に2人の男性グループ、そして自分と、7番手を走っていた。
自分はマイペースをキープしながら走っていたら、徐々に先頭グループのランナーが落ちてきて、ついに先頭に立ってしまい、その後は八丈島観光協会の職員の方が運転する車に先導されて走る。

いよいよ12キロ手前から八丈富士の周回道路に向かう登坂道路に入る。
晴れていれば対岸に八丈小島が臨めて絶景とのことだが、依然、雨脚も弱まることなく八丈小島はたまに所々姿を現すだけで、残念ながら全景は見えない。

今回のレースでは、元々上りが苦手なので上りの急坂は無理して走らず歩いて進み、下りと平地だけ走る作戦だった。
約5キロの登坂道路を歩きを交えながら上り、やっと鉢巻道路と呼ばれる周回道路に出た。
相変わらずの土砂降りで、鉢巻道路はまるで川のように水が溢れ流れている。
鉢巻道路を半周したところに、第2エイドの「ふれあい牧場」に到着。
この大会は参加者70名程度の、まさに手作りレースで、途中のエイドもスタッフが車で移動しながら給水等のサポートする。
事前の案内では、八丈富士の登坂道路の入口の12キロ辺りに第1エイドを準備する予定だったようだが、自分のペースが当初の想定より早過ぎたようで、その場所にエイド車は停まっていたが、誰もスタッフは見当たらず給水の準備も出来ておらず給水できず。

この第2エイドでやっと給水を取ることが出来、ここから仕切り直しで残り約50キロ。
鉢巻道路の残り半周を走っていると、これまで土砂降りの大雨が少しずつ小雨になり、かなり走り易くなってきた。
そうこうしているうちに、今度は先ほど上ってきた鉢巻道路に繋がる下る道に入る。
上りより下りの方が得意と言っても、かなりの急坂でそのままのスピードで駆け下りると、脚が壊れるのは間違いなし。
太腿でスピードを抑えながら降りて行く。途中でこれから鉢巻道路を周るランナー達から、大声援を貰ったりハイタッチを求められたりで、なかなか良い気分だ(笑)

その後、海岸線の一般道まで駆け下りて、その後はたんたんと歩を進める。
宿泊先近くの底土港近くの第3エイドで、給水とバナナ、梅干2個を補給。
後ろから追い上げて来た監視車に乗った会長から、「後続とは15分ぐらい離れているよ」とのお話。ま~このぶんなら何とか逃げ切れるかな~と、「取らぬ狸の皮算用」


いよいよ後半戦。待ち受けるのは、延々と登り坂の続く、当に名の如く「登龍道路(のぼりりゅう)」。
前方に見えるあのカーブ坂を越えれば第4エイドが設置されている登龍峠展望台かと期待して曲がってみるが、その先には展望台は見えずガックリ。
そんなことを何度も繰り返しながら上って、やっと登龍峠展望台に到着。
この展望台は、スタートから42.2キロでほぼフルと同じ距離で、タイムを見たら3時間43分だった。やはり上りが多いコースで、だいぶ時間が掛かっている。でも、峠越えまでにはあと2キロほど上りが続く。

その頃には土砂降りの雨は止んでたが、時折、小雨が降ったりで、スタートから着ていた百均のビニ合羽を捨てようか悩むが、まだ天気が安定してないのでもう暫く着たまま峠を下ることにした。
これで、コースの難関である大きな二山を越えて、あとは下りと平地で何とか完走できそうかなと少し安心する。
山を駆け下りて、麓にある第5エイドのあさぬま商店に到着。
町の婦人会のおばちゃん達から「軽やかな走りですね~」と煽てられて、ちょっと頭に乗る(笑)
ここでスタートから約50キロで、タイムは4時間25分。
残すところあと17~8キロ。この調子でいけば何とか6時間は切れそうかな・・・

ところが、今までのような急坂のアップダウンがないが、今度は緩やかな大きな上り坂。
だんだん疲労・乳酸が蓄積してきた脚は重くなり、ちょっとした上り坂も走れなくなってきて歩きと泣きが入り始める。その上、急坂を駆け下りてきたダメージで左足の膝に違和感が出てきた。
万が一、左足の膝痛が勃発すれば、まだゴールまで10キロ以上あり、万事休すとなってしまう。

「お金と時間を使って、なんでわざわざ八丈島まで参戦しに来たんだ!」と自分を鼓舞しながらヒット&ランで歩きと走りを交えながら、何とか緩やかな「大坂トンネル」の上り坂を上りきった。
大坂トンネルを抜けると、そこは雪ではなく、まさに絶景(笑)。
目の前に絵葉書のような世界が広がっている。
目の前に迫る八丈富士、その向こうには八丈小島が浮かび、手前には八重根港。
「百聞は一見に如かず」で、この景色を見ればこれまでの苦しかった上りも左膝の痛みも一気に吹っ飛んでいく。
この絶景を堪能しながら、最後のエイド、62キロ地点を通過。
ここで、最後の力水「コーラ」を頂いて、右折して颯爽と空港道路をビクトリーランへ。


途中で後続と15分差とスタッフから教えられ、続報は入っておらず後続ランナーがどんな展開になっているのか分からない。
残りはあと5キロ。このまま逃げ切れそうだと優勝コメントを考えながら走っていたところ、
な・な・なんと後ろからスタスタと足音が近づいて来る。
振り返ると、そこには自分より遥かに若くて軽やかに歩を進めるランナーの姿が。
ゲェ~!まさかまさかの展開。こんなところで大逆転されるなんて・・・
このまま逆転されれば、彼はヒーロー間違いなしだけど、自分は天国から地獄へまさに道化師だ。
なんとか追い付こうとしたが、見る見る間に彼の姿が遠ざかる『オ~、マイ、ゴッド~』

結局、優勝の若いランナーは6時間20分、自分は遅れること5分の6時間25分でゴ~ル。
ま、これが人生でしょうか。
「驕れる者、久しからず」「油断大敵」を実感・体感した貴重なレースでした(笑)

その後の打ち上げで、いつものようにたらふく飲んでしゃべって楽しいひと時を過ごしました。

駄文・長文にお付き合い頂き、ありがとうございました。


『アランチュール』 記



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