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【伊 豆 を 走 る】


IZU

その6 早春の天城峠を走る


期日:2005.4.16
距離:50キロ
走友:長浜則夫
   清水和彦




ふもとの桜はもう葉桜に変わって陽射しも一段と強くなりかけてきた春爛漫の伊豆を走り抜けようとロングランの最大の目玉として4月16日、走友・長浜君、清水君と3人 勇躍、伊豆修善寺の駅に降り立った。
前回1992.9月高嶋、山根、藤島と4人で雨の峠超えをしたのを思いだす。 道中 調達が出来ないことを見越して駅にて水、補給食を買い込み、駅頭でアリバイの写真を撮って9時30分勇躍天城街道へ飛び出した。


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今回の計画 では同行者は居ないだろうと単独走を覚悟していたが、前日両名の同行が決まって一安心。
狩野川に架かる真っ赤な橋がスタート地点。頂上トンネルまでの22キロはひたすら登り。先週の城ヶ島ラン55キロの疲れが残っているのか体に切れが無く、キロ7分ペース。前途が思いやられる。
道は古い佇まいを見せる街道筋に沿って徐々に高度を上げていく。やがて7キロ、西海岸の土肥へ抜ける136号線を右に分岐して月ヶ瀬温泉着。体が重い。併せて、外反母趾の左足親指が痛み出す。テーピングが不十分だった。清水君のバンドエイドを貰って応急処置。楽になった。
歩道が細く縦1列、無言の走り。左右の山が迫ってきてやがて湯ヶ島温泉。この辺りからいよいよ勾配が増して峠道の様相を呈してきた。陽射しは柔らかく、空気は爽やか、残念ながら期待の富士山は霞の中で見えない。街並みが消えて鬱蒼たる杉の木立の下をあえぎ喘ぎ登る。
この頃ようやく体がほぐれて走れるようになった。二人は敬老精神を発揮して決して前に出ない。このため、自分のペースで走れたことが無事完走できた大きな理由だったとおもう。
目を上げればこれから越えなければならない天城の峠が遥か彼方に墨絵のように霞んで見える。その高度差、どっと疲れがでる。 桜が丁度見ごろを迎えている。新緑の木立の中に薄紅色の満開の桜は春になった喜びを澄み切った青空に鼓舞していた。 わさびの白い花も冷たい湧き水を棚田に受けて咲き誇っていた。 伊豆が一番伊豆らしい季節だろうか。道は次第に傾斜を増し声も無くひたすら登る。 休日なのに意外に観光客の姿が少ない。

11時 15キロ地点の浄蓮の滝 滝つぼまで降りずに木の間からかすかに滝の様子を確認して先を急ぐ。この付近からは数々の文学碑があらわれる。島崎藤村、横光利一、井上靖、川端康成、・・・伊豆の山は文豪たちの饗宴の場でもあった。走るのを止めて碑を巡るゆったりした時間が欲しい。やがて道は旧天城トンネルへと分岐する。トンネルに至る道筋は車が交差できないほどの細い道だった。新トンネルが出来るまではこれが天城街道だった。 踊り子もこの道を歩いて峠を越えたのだろう。この付近でようやく観光客やハイカーが見られるようになった。 皆 天城峠、伊豆の踊り子など 伊豆の持つ文学的雰囲気に誘われての散策を楽しんでいた。

旧天城トンネル着12:30pm ようやく頂上だ。すごい登りだった!
IZU ようやく一息入れてトンネルをバックにアリバイの写真を撮る。暗くて、長いトンネル中はものすごく涼しい、寒いくらい。この冷気を都心に持っていって冷房に利用できないか?本気に考えたくなるような寒さから逃れるように暗いトンネルを走り抜ける。
さあ、此処からは下田への分岐点湯ガ野温泉まで11キロ、ひたすらの下り。本線に合流するまでの約4キロ旧街道は車も無く人影も無い静かなラン。まだ皆元気それにしても、下りの勾配の急なこと。
標高約1000mの峠から一路相模湾に向けて駆け下る。足へのショックが心配。 6キロぐらいでループ橋、直径300mぐらいを2周して約80mぐらい降りる。振り返ると峠は遥か天空に聳えていた。やがて湯ケ野温泉、河津への道を左に分岐して下田街道に入る。

IZU 河津への道を左下に見ながら対岸の中腹をトラバースするように再び急な登りに入る。前回のときはまだ工事中だった山道が見違えるように整備されて蛇行しながら峠へと続いている。
この峠越えは天城より強烈であったが一同体調もよく快調に登る。やっと頂上!いよいよ下り、下田まで約10キロ、稲生沢川に沿って下る。急激な下りを経て道は箕作で松崎からの道と合流する。間もなく伊豆急行と併走しゆるやかに下る。
この辺りで突然ガス欠を感じる。天城を越えたところでうどんを食べただけ、下田街道に入ってからは補給する店が全くなく、蓮台寺付近でついにダウン。長浜君が持っていた修善寺で買った笹餅をもらう。美味かった。ようやく人心地ついて最後の頑張り。寝姿山を左に下田市内に入る。静寂だった伊豆の山道を懐かしみながら再び人里に戻ってきた。


17:00pm 下田駅にゴール。二つの峠越えで50キロを走破した。5週続けてのロングランの成果を感じながら長かったランを終えた。ビールを買い込み休日とは思えぬ静かな車中から今越えてきた伊豆の山々を眺めながら帰途についた。伊豆諸島の島々は霞の中に隠されていた。

IZU
2005.4      
横浜中央走友会 山本 卓


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