「体幹」 雑感 【山本 卓】

■最近、ランナーの間で「体幹」が広く話題になっていますが、なんで今頃?と言う感じです。
何故なら、「走る」ことと「体幹」は表裏一体とも思えるほど密接に関係しているからです。
で、話題の狙いは「体幹を整えて、「ブレ」の無い走りをしよう!」と言うことだと思います。

「ぶれ」が生ずる原因は、「足の蹴りだし」で生ずる体の『捩れ』を足とは反対側の「腕の振り出し」
により生ずる『捩れ』で「相殺」(そうさい、互に消しあうこと)することにより、体は「捩れ」
を解消して直進方向に正対しようとします。

この「足と腕の動作」の中で生ずる微小な運動量の差が「ぶれ」となります。
『ぶれ』の大きさは「体幹=脊柱」の不整の程度と相関します。
ランナーは「体幹」を整えて、この「ぶれ」を最小にしよう・・と汗を流している訳です。
以上の事は生体力学として考えると合理的に説明できます。

 

■対策 の一つとして。
我々現世人は700万年前にチンパンジーから分かれて、500万年かけて現在の「ヒト」の体型になりました。
この間、アフリカのサバンナで捕食動物から逃れるために、「如何に速く走るか」が生き延びるための絶対条件でした。
そのとき求められたのが、『体幹』が整っていて、「ブレ」によるtime lossが最小であることです。

アフリカ系のランナーが速いのは、現在に至るまでこの基本的な体型を維持しているからです。
我々日本人も含め、世界中のヒトたちも僅か5万年前まではこのアフリカ系のヒトたちと同じ体型でした。
5万年位前にアフリカから全世界に旅立って、その先の環境に最も適した体型に変わって、現在の世界中の人たちの特性が出来ました。 

と言うことで、数百万年かかって出来た我々の体を局部的に矯正しようとしても、そう簡単ではありません。
Sunday runnerの準備運動位では手に負えない難問です。問題は、本や指導者から与えられる「ぶれ対策」の[秘策]を、言葉や観念ではなく、どれだけ体に植えつけるか? です。

これは、いかに長い時間、その「秘策」に体を預けるか と言うことでもあります。
どんなに頑張っても、思うような結果が出ないことを覚悟の上で日々継続することになります。  

■私案
『体幹』が整った体型 に近づけるために多くのアイデアが提示されていますが、ランナーにとって、特別に気負うことなく長続きする運動として、私は『正しい姿勢で、颯爽と歩く』こと をお勧めします。

「正しい歩き方」は「見ていて綺麗に見える歩き方」です。例えば、

   背筋=体幹 が キチッと垂直に伸びて、目は遠くを見る。
   膝を伸ばして大きな歩幅で、着地は踵から。足全体が直進方向に向いていること、(つま先が開かない)
   腕は伸ばしてやわらかく振る。(腕を曲げるのは、「走るとき」の足の「蹴り出し」のスピードに合わせるためです)
などなど・・・。

一見、簡単そうですが、長く続けことは結構大変だと思います。
幸い、「歩くこと」は日常の生活で何時でも何処でも出来る運動ですから継続して体に覚えこませるには格好の運動になります。

■自分の走法に「ぶれ」があるか無いかを知るのは、長い距離or長い時間 走った翌日、体に筋肉痛や関節痛が出ているか否かで判ります。それは「ぶれ」によって生ずるストレスが局所的に蓄積されるからです。

私事ですが、10年前、北海道横断走(知床~函館)735kmを15日で走りました。
3ステージに分けて日平均50kmでしたが、幸い、連日何処にも損傷が無く快適なランでした。

特に、第3ステージ、札幌~函館280kでは、50kX5日+30kでしたが、毎日が初日みたいな体調で走れました。
今、この稿を書きながら、
"あの頃の俺は案外「体幹」が正しく保持されていたんだな~“と懐かしく思い出します。
函館にゴールし日は75歳の初日でした。

『体幹』を論ずるには少々歳をとりすぎたと思いますが、自分を奮い立たせる目的も含めて雑稿を呈します。

                             2017. 6. 12  

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